一般社団法人とやまミライラボは、富山の名産「ますずし」をテーマにした体験型学習イベント「富山ますずし学校」を、2023年8月17日(木)・18日(金)・21日(月)の3日間で開催いたしました。
参加したのは、富山県内在住の小学5・6年生20名。
ますずしの原料である「サクラマス」を起点に、海・川に起きている変化や課題について学びました。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、
海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
最終日となる3日目は、「自然ふれあい学習館」で座学からスタート。まずは富山漁業協同組合の西村さんに、サクラマスについて物語風に紹介していただきました。「サクラマスはどれ?」というクイズでは、姿も形も違う8つの魚が示されましたが、実はその全部がサクラマス。子どもたちはまだ知らなかったサクラマスの一面に驚いている様子でした。また、サクラマスを幻の魚としないために、漁ができる期間や区間、方法などの大切なルールがあることを教えていただきました。
続いて富山河川国道事務所流水治水課の山崎さんに、サクラマスが暮らしやすい環境づくりについてお話していただきました。一生で川の上流から下流までを泳ぐサクラマスは、神通川における自然再生の取り組みのなかで、河川の健全度を測るいい指標となっていること。また、サクラマスが暮らす環境を向上させることは、海の環境の改善にもつながってることを教えていただきました。子どもたちは終始真剣な眼差しでノートに学んだことを書き込んでいました。
ここまで、サクラマスを守り育てるさまざまな取り組みを学んできました。命を繋いでいく大切さを身をもって体感するために、自分たちの手でサクラマスの稚魚を放流します。神通川に移動して、稚魚を直接手で触らないなどの注意点を聞きました。そして「大きく育ってね」「元気で帰ってきてね」と思い思いの言葉をかけながら、1人1匹ずつ大切に放流しました。実際にサクラマスが暮らす環境を見て、その周辺にある木々を守ることの大切さも実感しました。
放流したサクラマスの稚魚は、昨年10月に生まれたもの。来春までここで暮らしながら育ち、海に下りていきますが、なんと1000匹のうち1〜3匹ほどしか帰ってこないと言われているそうです。子どもたちからは「1匹でも多くのサクラマスが帰ってきてほしい」「自分たちは気軽にサクラマスを食べていたけど、1匹の重みを感じた」「このような(河川の環境整備などの)仕事に就いている方が素晴らしいと思った」などといった感想が聞かれました。
高岡市の「道の駅雨晴」に移動し、イベントの最後に挑戦したのは、ますずしの魅力を伝えるオリジナルパッケージの開発です。クリエイティブディレクター・コピーライターの居場梓さん、デザイナーの高森崇史さんを講師にお招きしました。商品の魅力を伝えるためにどんな要素が必要かをみんなで考えたあと、文章を書くグループ、絵を描くグループに分かれて、それぞれ制作に取り組みました。
文章を書くグループには、ますずしの歴史や作り方、サクラマスの特徴など、5つのテーマが与えられ、3日間で学んだことを思い出したり、メモを見返したりしながら、2人1組で文章を作成。県外の方にもますずしの魅力が伝わるよう工夫したり、多くの人の目につくようキャッチコピーを考えた組もありました。
一方絵を描くグループは、パッケージに入れる商品名と、サクラマス・ますずしのイラストを筆で描きました。同じサクラマスでも力強いもの、かわいらしいもの、リアルなものなど、子どもたちの個性があふれていました。子どもたちの文章や絵をもとに作られるパッケージの商品は、富山ますずし協同組合と連携し、富山市内の7店舗(青山総本舗、元祖関野屋、ますのすし千歳、吉田屋鱒寿し本舗、川上鱒寿し店、高芳、味の笹義)にて販売される予定です。
最後は保護者の方をお招きして、パッケージ用に作成した文章とイラストの発表会&卒業式を行いました。グループごとの発表では、「いつかまた、天然のサクラマスでますずしが作れたらいいなと思った」という想いも聞かれました。保護者の皆さんも、3日間で学んだことや自分の想いを堂々と発表する子どもたちに深く感心している様子でした。
卒業式では、参加した20名全員に「富山ますずし学校」の卒業証書を贈りました。今回参加してくれた子どもたちが、これからも海や川、そして魚に積極的に親しみ、海を守る次世代のリーダーとなってくれることを期待しています。
この様子は富山テレビの夕方ニュースでも放送されました。
記事として、まもなく登場しますので動画でもお楽しみください!
参加者の皆さん、ご協力いただいた先生の皆様、ありがとうございました。