柔らかな陽射し、暖かな風、そしてなんだか浮ついた空気が町全体を包んでいます。雪をかき分け、かき分け、かき分け…続けた日々が長い分、そんな春の気配を感じるのがたまらなく嬉しいです。そして海の中も季節が変わりつつあり、獲れる魚が変わってきました。
今の主役はイワシ!連日大漁が続き、大きなサイズのものが信じられないほど安く魚屋さんで手に入ります。更には先日は知り合いの魚の加工屋さんから、「イワシが多すぎて処理しきれないから少しもらってくれない?」なんて魚のまちらしい連絡も。
しかしそんなイワシの破竹の勢いに押されて、逆に白身はどこかに行ってしまい連日不漁が続いています。ある日には小さなメバル1匹が1000円以上の値がついたなんて日も。春の間は当店もイワシ料理専門のダイニングバーにした方が良さそうだなぁ、なんて弱音を吐きつつも今日もイワシをせっせと捌いています。
そんな大漁で安価なイワシ。しかし味に関しては侮るなかれ。今の時期の氷見イワシは高品質なことで有名で、特に脂乗りが素晴らしいです。
刺身にするとトロッとした食感がたまらず、焼くと脂の旨味が更に引き立ちます。当店では先月から大きなイワシを酢締めにし、野菜と共にパンに挟んで「トロイワシのマリネサンド」として販売をしています。今まで販売してきたサンドイッチの中でも特に人気で、南砺市からわざわざ買いに来ていただいた方や、二日連続で買いに来ていただける方もいらっしゃるほど。
やっぱり3月からはイワシ料理専門店として舵を切った方が良さそうだなぁ、なんて半ば自信をのぞかせつつ今日もイワシをせっせとマリネにしています。
【イワシのスパイスフライ】
材料
・イワシ 大3尾
・卵 1個
・小麦粉 適量
・揚げ油 適量
・塩 適量
・お好みの葉物 適量
▲パン粉 50g
▲カレー粉 小さじ1
▲クミン 小さじ1
▲コリアンダーシード 小さじ1
▲乾燥パセリ 少々
作り方
❶イワシは3枚おろしにし食べやすい大きさに切ったら、塩を振って10分ほどおく。出てきた水気をキッチンペーパーなどでふき取ったら、一口大に切り分ける。
❷▲の材料を全て混ぜ、スパイスパン粉を作る。
❸イワシに小麦粉をまぶし、卵・スパイスパン粉の順番で衣を付ける(スパイスははがれやすいのでしっかりと押し込む)。
❹鍋に油を170℃程度に熱して、❸を入れる。途中返しながら5分ほど揚げ、衣が茶色く色づいたら取り出して油をきり、皿に盛ったら出来上がり。
ビールにぴったりなメニューです。ぜひお試しあれ。
魚料理研究家。本名: 近森光雄、1993年東京都下町生まれ。
大学卒業後、魚屋に3年半勤務。旅行で訪れた富山県氷見のあまりにも新鮮な魚に一目ぼれし、2019年10月氷見へ移住。
地元の魚屋・漁師・料理人と語らいながら、日々魚料理の新たな可能性を素材と調理法の両面から研究中。
サウナを愛するあまり、スーパー銭湯の近くに住んでいる。