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2021.11.01

富山県氷見在住の魚料理研究家「昆布」による連載コラムvol.6

氷見の景観の代表的なものといえば、富山湾越しの立山連峰。
秋ごろからは空気が澄み、はっきりとその輪郭を見渡せるようになりました。

近頃更に気温が下がり、冬の気配。気が付くと立山の峰々の頂上付近には積雪が。
麓から中腹にかけての「青」と頂上の「白」のコントラストに、思わず心が躍ります。

冬の富山は曇りや雨ばかりだけど、信じられない雪害に襲われることがあるけど、そこら中にカビが発生するほど湿度が高いけど(「けど」要素は挙げたらキリがないけど)、
この景色を見るとそんなことは些細な問題に思えてくるのです。あぁ本当にきれいだなぁ。

冬の富山湾の幸・・・

さて、そんな冬の辛さを忘れさせてくれるものがもう一つあります。
それは、冬の富山湾で水揚げされる上質な魚たち。

春の産卵のためのエネルギーを得るために、多くの魚たちは冬に積極的に栄養を取り脂肪を蓄えます。
同じ魚種でも、冬のモノとそうでないモノとは脂乗りが圧倒的に違います。

特に冬の氷見では、豊富で上質な脂を持ったブリが漁獲されます。
刺身を食べると、とろけるような食感と脂の甘みが口いっぱいに広がる、そんな特別なブリです。

そんな良質なブリが安定供給できると判断されると、例年11月下旬頃に氷見漁協より「ひみ寒ぶり宣言」が出されます。宣言後は氷見のブリは「ひみ寒ぶり」としてブランド化され、全国に出荷されることになります。

そうなってくるとかなり価格が上がってしまい中々買いにくくなってしまうが、僕のような庶民の苦しいところ。そんな僕のねらい目は、宣言直前のブリ。品質はいいけどまだギリギリブランド化されていないもの。

11月中旬ごろがねらい目ゆえに、今頃からブリの漁獲に目を光らせています。
お手ごろにブリを口の中へ滑り込ませるためには、地元民といえどもたゆまぬ努力が必要なのです…!

魚の旨味を活かしたスープをご紹介

最後に冬にぴったりなメニューをご紹介。魚の旨味を活かしたスープです。

【アラ出汁 塩麴スープ】

材料
・魚の切り身・アラ 1尾分(300g程度)
・かぶ 2個
・里芋 2個
・塩麹 適量
・ローズマリー 1枝
・乾燥出汁昆布 4㎝~5㎝
・酒 小さじ1
・水800ml
・オリーブオイル 適量
・黒胡椒 適量

作り方
❶アラはしっかりと血を洗い流し、熱湯を振りかけて臭みを飛ばします。

❷鍋に❶のアラ、昆布、水、酒を入れ、火にかけて沸騰させたら、弱火にしてアクを取りながら10分ほど煮ていきます。
 キッチンペーパーをしいた漉し器(ザル)でアラと昆布を取り除いたら、出汁の完成です。

❸魚の切り身に塩をして10分ほどたったら、余計な水分を拭き取ります。かぶは一口大、里芋は皮を剥いていちょう切りにします。

❹鍋でオリーブオイルを熱し❸の野菜を入れて軽く炒めたら、❷の出汁とローズマリーを加えて煮ていきます。

❺野菜が柔らかくなったら❸の切り身を入れて火を通し、最後に塩麹と黒胡椒で味を調えお椀に注ぎます。最後にオリーブオイルをひと回ししたら、出来上がり。

 

アラ出汁と塩こうじの旨味が合わさった、満足感のある一品。魚種によって味が変わりますので、ぜひ様々な冬の魚で試してみてくださいね。

魚料理研究家【昆布】

魚料理研究家。本名: 近森光雄、1993年東京都下町生まれ。

大学卒業後、魚屋に3年半勤務。旅行で訪れた富山県氷見のあまりにも新鮮な魚に一目ぼれし、2019年10月氷見へ移住。
地元の魚屋・漁師・料理人と語らいながら、日々魚料理の新たな可能性を素材と調理法の両面から研究中。

サウナを愛するあまり、スーパー銭湯の近くに住んでいる。

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