400年以上の伝統をもつ氷見市の定置網漁業が、県内で始めて「日本農業遺産」に選ばれました。「日本農業遺産」は、将来にわたり受け継がれるべき伝統的な農林水産業が営まれている地域を、農林水産省が認定するものです。農水省が審査結果を公表し、「氷見の持続可能な定置網漁業」など、あわせて7つの地域が新たに選ばれました。富山湾は、急激に深くなる地形に加え、沿岸表層水と暖流水、海洋深層水の性質が異なる3つの海水の重なりにより、海岸のすぐそばから良い漁場となっています。また古くから漁師たちの工夫によって多くの種類の漁法が発展し、富山湾沿岸の漁獲量の80%以上を占めているのが、定置網漁です。定置網漁は、沿岸に袋状になった網をしかけ、網の中に入ってきた魚をとる方法で、富山湾では江戸時代から続き、約400年の伝統があります。氷見を代表する「ひみ寒ブリ」やマグロ、アジなどの魚を生きたままの状態で水揚げできるため、その鮮度の高さ、そして何より、魚を傷つけず、魚をとりすぎたりしない、魚にも海にもやさしい漁法です。氷見市では、現在もおよそ30の定置網が設置され「ひみ寒ぶり」など県内有数の漁獲量があります。審査した委員からは、「400年以上の長い歴史があり、富山湾の地形をうまく生かしている」ことや「一度入った魚が逃げ出せるなど、魚をとりつくさない持続可能な漁業は世界から注目されている」ことなどが評価されたということです。