一般社団法人 海のごちそう推進機構と一般社団法人とやまミライラボは、魚を実際にさばくこと、地域の海洋変化や魚種の変遷を学ぶこと、さらに「海を味わう十の技法」による調理体験など、日本の豊かな海の食文化を継承し、輪を広げる取り組み「日本さばける塾 in 富山」を1月18日(土)に開催し、8組16名の親子が参加しました。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
イベント概要
・開催概要:魚を実際にさばくこと、地域の海洋変化や魚種の変遷を学ぶこと、さらに「海を味わう十の技法」による調理体験など、日本の豊かな海の食文化を継承し、輪を広げるイベントとして、以下の取り組みを実施しました。
<海を味わう十の技法について>
2013年にユネスコの無形文化遺産となった「和食」。その調理法として定義されるのが、「切る」「煮る」「焼く」「揚げる」「蒸す」という「和食五法」。
これに海の恵みと向き合うために培ってきた、「締める」「醸す」「干す」「燻す」「漬ける」の調理技法を加えたもの。それが「海を味わう十の技法」です。
①土屋鮮魚店で旬の魚・海の問題について学習
②射水市で行われている養殖事業・いみずサクラマスについて学習
③参加児童がいみずサクラマスをさばき、料理に挑戦。親子で試食
・日程:2025年1月18日(土)9:00~13:30
・開催場所:射水市大門総合会館(射水市大門67)
・参加人数:小学4~6年生とその保護者8組16名
・講師:東海 勝久さん(株式会社IMATO 代表取締役)
・主催:一般社団法人とやまミライラボ、一般社団法人 海のごちそう推進機構
・共催:⽇本財団 海と⽇本プロジェクト
・協力団体:株式会社IMATO、土屋鮮魚店、堀岡養殖漁業協同組合
今回ご参加いただいたのは、富山県内の小学4〜6年生と保護者のみなさん。バスに乗り込んでまず向かった先は、射水市の新港漁港で創業以来90年続く「土屋鮮魚店」です。地元の漁港から仕入れた魚の小売・卸売をはじめ、定食や丼を提供する食堂の運営なども行なっている同店。この日も売り場には朝仕入れたばかりの新鮮な魚が並んでおり、子どもたちは興味津々な様子でした。
富山湾の特徴として「漁場が近いため、新鮮な魚が比較的安価で手に入る」と土屋さん。旬の魚を紹介していただいた後、近年は獲れる魚の種類やサイズが変化していることも教えていただきました。昔はあまり獲れなかった魚を見るようになった一方で、以前は獲れていたサケやマスが県内でほとんど見られなくなっているそうです。子どもたちの身近な富山の魚を通して、海の問題に思いを馳せる時間となりました。
続いては座学の時間です。射水市でブランド化が進められている養殖魚「いみずサクラマス」について、堀岡養殖漁業協同組合の酒井さんに教えていただきました。富山県の名産品・ますずしの原料でもあるサクラマス。しかし、近年は県内の漁獲量が激減しており、現在は他県産のサクラマスや類似する他魚種を使ったものが多くなっているそうです。酒井さんは「かつて富山県民に食されたサクラマスをもう一度食卓に!」と、養殖事業を始めたきっかけを力強く話してくださいました。
また、採卵から育成までを市内で行う完全養殖に成功した射水市の取り組みについて、子どもも大人もメモをとりながら真剣な表情で聞いていました。「みなさんが大人になったとき、富山のおいしいものとしてサクラマスを思い出してもらいたい」と酒井さん。いみずサクラマスを通して、漁業資源を守り、未来へ受け継いでいく気持ちを育みました。
最後は、いみずサクラマスをさばく体験の時間です。さばき方を教えてくれたのは、射水市で漁業や水産加工業などを営む株式会社IMATOの東海さんです。まずは東海さんがお手本を見せながら、三枚おろしにする際のポイントや包丁の使い方などを解説しました。いざ魚を目の前にすると、その大きさに驚きの表情を浮かべた子どもたち。ときには苦戦しながらも、鮮やかなピンク色の身が姿を表すと「わぁ!」「きれいだね」と喜びの声を上げていました。
半分はお刺身用に切って盛り付けて、もう半分はオリーブオイルと塩で塩焼きに。骨や頭の部分はアラ汁にして、貴重な恵みを余すことなくいただきました。自分でさばいた魚の味は格別だったようで、「おいしい」という親子の会話があちこちから聞こえてきました。最後に東海さんは「みんな上手な包丁さばきだったので、自信を持って家でも繰り返しチャレンジしてほしい。今日をきっかけに魚をもっと好きになってもらえたら」と参加者にメッセージを送りました。
後日、親子でいみずサクラマスを活用した新たな郷土料理を考案してもらい、最も優れているものはIMATOで実際にメニューとして提供される予定です。
<子どもの声>
・魚をさばくのは初めてでしたが楽しかったです。お刺身のおいしさに感動しました。(小学5年生・女子)
・魚屋さんやいみずサクラマスについてのお話で、海に変化が起きていることを初めて知りました。海の恵みに感謝したいです。(小学5年生・女子)
・いみずサクラマスは甘みがあっておいしかったです。家でも練習して一人でさばけるようになりたいです。(小学5年生・男子)
<保護者の声>
・家でも魚をさばくことはありますが、子どもに三枚おろしを教えるのは難しいと感じていました。プロに指導してもらうことができ、参加してよかったです。
・丸ごと一匹の魚に触れる機会はなかなかありませんでしたが、魚屋さんなどで購入して、家でもチャレンジしてみたいと思います。