当たり前のように、30℃超えの気温の日が続いています。
「暑くてたまらん!」とはならないのは、例年の猛暑に僕の身体が慣れてしまったせいでしょうか。それとも日頃の富山湾を眺めながらのウォーキングのおかげで、暑さにも負けない身体を作り上げることに成功したのでしょうか。
なにはともあれ人間の身体というものはすごいもので、10〜20年前であれば考えられなかったような暑さにもしっかりと対応してくれるようです。
そんな30代男性の身体の神秘はさておき、今回話題に上げたいのは息子の成長。
今月で息子は2歳になりました。最初は2700g程度で生まれてきた彼も、今や12kgの大台に。
食欲はとどまることを知らず、日に日に食べられるものが増えていくのが楽しいようです。
好きな食べ物は、なんとお魚。フクラギやサワラやアジなどを全く恐れることなくむしゃむしゃと食べています。
ある日鯛を食べさせたところ、とても気に入ったのか猛スピードで完食。その後すぐさま僕の鯛にも手を伸ばす始末。
こちらはせめて骨は取らないと!という思いでその伸ばした手を肘で制し、「イヤイヤ!」という息子の声を聞き流しながら何とか骨をとったものを取り分けて与え、一安心…したのもつかの間、息子は次に妻の鯛に手を伸ばし…
魚が本当においしい土地にいるわけですから、魚が好きになってくれて親としては(魚料理研究家としても)嬉しい限りですが、我を忘れるほど好きになってくれるとは予想外。
“良識の範囲内で”好きになってくれることを祈りながら、今日も肘で彼の溢れる魚愛を制して行こうと思います。
さて先日は久しぶりに魚料理教室を開催しました。場所は富山市のD&DEPARTMENT TOYAMA。
物販・飲食・出版 ・観光などを通して「息の長い、その土地らしいデザイン」を発掘、広く紹介する施設で、一度はイベントを開いてみたかった憧れの場所です。
今回担当者の方にお声がけいただき、D&DEPARTMENTのワークショッププログラム「d school」内で、僕が監修・講師を務める「わかりやすい昆布〆~夏の魚編~」を開催させていただきました。
今回のイベントでは、いつも行っている魚捌きメインの料理教室とは違い、夏の魚やそれにかかわる旬の定義、昆布締めの調理法としてのすごさなどの、魚(料理)の知識について「学ぶ」ことをメインにしました。
当日は、まずはこれから捌く夏の魚ヒラマサを紹介したのち、持参した魚図鑑でどのページに記載されているか調べてもらうところからスタート。
ブリやカンパチとの違いや、なぜ夏の旬と言われるのか。他にはどんな魚が夏に旬を迎え、どんな調理法が向いているのか。
昆布締めはなぜ富山の伝統食となり、今日においても非常にポピュラーな調理法となっているのか。
様々な視点で富山湾の魚を捉えながら、富山に住むことによって私たちは富山湾の恵みを日々享受できていること、素晴らしい調理法が身近に存在していることの価値をお伝えしました。
その後三枚おろしを実演したのち、参加者の皆さんにはサク切りと昆布締めをしていただきました。
ただサクを切るだけと侮ることなかれ。包丁を当てる角度など美味しい刺身を造るのにはいくつものコツがあるのです…
などなど、様々な「学び」を盛り込んだ内容となりました。
デザイナーの平野暉さんに作っていただいた復習用の冊子もお渡ししたので、参加者の方たちには再度学びをかみ砕きながら、サクを切ってもらえたらうれしいですね(魚捌きに関しては才能では無く継続が有効なのです)。
最後にイベントで使った、夏の旬のヒラマサについてこちらでもご紹介。
図鑑で開くと、アジ科ブリ目ヒラマサ。
その分類の通り冬の旬のブリと見た目がそっくりなお魚です。見分け方はヒレの位置で、体の中央を走る黄色い線に胸ビレがかぶっているのがヒラマサで、かかっていないのがブリです。
外側の見た目的にはそんなわずかな違いなのですが、捌いてみると身はヒラマサの方が乳白色がかっていて、味はブリほど青臭くない印象です。鮮度のいいものはブリと白身魚の中間のような味わいでとても美味しく、様々な調理法に適しています。
おすすめの調理法は、カルパッチョと南蛮漬け。
カルパッチョは今最盛期を迎えているズッキーニをスライサーで薄く切ったものを皿に広げ、そこに薄く切りつけたヒラマサをのせ、レモンベースのソースで頂くのがいいですね。
南蛮漬けはヒラマサや先ほどのズッキーニをはじめとした夏野菜(トマトやナス、ししとうやパプリカなど)を、魚焼きグリルやフライパンで焼いたのち、酢醤油ベースの南蛮ダレに漬け込む「揚げない南蛮漬け」がベスト。夏の揚げ物は気温的に大変ですし、油も使わないためカロリーも抑えられます。
ぜひお試しあれ。
さぁ7月を迎え、夏の旬の魚はちらほらとあるものの、暑くなるにつれてじょじょに漁獲量が減って「夏枯れ」へと漁場が変わっていく季節。
スーパーで美味しそうな魚を見つけたら迷わず買って、夏枯れ前に魚を食べ貯めするのがおすすめですよ…!
東京都葛飾区出身、1993年生まれ。
大学卒業後、大手スーパーの鮮魚部に勤務。
旅行で訪れた富山県氷見のあまりにも新鮮な魚に一目ぼれし、2019年10月氷見へ移住。
2023年8月には、魚料理専門店「サカナとサウナ HOTEL&DINER」を開店。
地元の魚屋・漁師・料理人と語らいながら、日々魚料理の新たな可能性を素材と調理法の両面から研究中。