お知らせ
2023.08.01

富山県氷見在住の魚料理研究家「昆布」による連載コラムvol.26

海すら熱湯なんじゃないかと疑い始める、猛暑の今日この頃。
日に日に日差しの厳しさが増しているような気がします。
冬にあれだけ煙たがっていた雲も今や恋しく、今は快晴の空を恨めしく見上げています。

線状降水帯と健康

  1. 雨が上がったら…

しかし7月の中旬は、線状降水帯の発生等で北陸地方はとんでもない量の雨が降りました。
ちょうどその頃僕は体調不良になってしまい、その期間ずっと寝込んでいたわけなのですが、起きるたびに雨の勢いが増していくのを雨音で感じていました。
降水量がピークを迎えた頃には大雨警報を知らせるサイレンや防災無線が鳴り響き、「こりゃあ寝てもいられないな」なんてつぶやいてはみるものの、自由の利かない体をどうしようもなく横たわらせている自分ですから、ただじっと雨が過ぎるのを待っていました。

体調も悪くしかもずっと一人でそんな危機的状況にあると、変な妄想をしてしまうもので。川が氾濫したらどうしようとか、体調不良の人って避難所に受け入れてもらえるのだろうかとか、そもそも海って雨が降りすぎたら溢れたりしないのかしらとか、どうしようもないことを考えてしまうのです。

幸い雨が上がるのと時を同じくして僕の体調も回復していきまして、あんな妄想もどこへやら。延期してしまった新店のプレオープンの準備について考える気力も戻り、一安心。
いやぁやっぱり心身ともに元気っていうのは本当に大事。毎日獲れたての魚を食べて、時には海沿いをサイクリングするなり海水浴をするなりして、引き続き健康に過ごしたいものですね。

サカナとサウナ HOTEL&DINER

  1. 魚々出汁(ととだし)カレー
  2. 出汁アクアパッツァ

さて、そんな延期騒動がありながらも、7/22(土)になんとかプレオープンできた私の新たなお店、「サカナとサウナ HOTEL&DINER」のお話。
開店当日はきれいに晴れたとても良い日で、ランチ・ディナー両方共に非常に多くのお客さまにご来店いただきました。
お祝いのお花を背に、これまで頑張って試作してきたメニューをようやくお客さまに提供できた際には、これまで頑張ってきてよかったなぁと感慨深くなりました(本当は『これから』が大切なのですが)。

ランチのメインは魚のアラや昆布でとった出汁を使った、魚々出汁(ととだし)カレー。「お茶漬けとカレーの中間のような味」とお客さまから評価していただくほど、とてもスッキリとしたカレーです。

ディナーは一品料理とワインを提供していますが、メインは出汁アクアパッツァ。カレーにも使用している出汁にオリーブオイルやミニトマトを加え、その中でタイやソイなどの白身魚を丸ごと1匹煮る豪快な料理です。

今後2階のサウナホテルが完成したタイミングでのグランドオープンをした後には、宿泊者向けにコース料理も提供予定。氷見の魚と伝統的な調味料や調理法を駆使した、これまでにないサウナ飯を目指します。

宿泊の方だけではなく、飲食のみの方も予約制にてご提供可能です。

そちらもぜひお楽しみに。

「夏枯れ」の時期

  1. 夏の救世主「スズキ」
  2. カルパッチョ

さて、晴れて開店したのは良いものの、只今8月は毎年「夏枯れ」という不漁の時期。
夏は気温の上昇と共に海水温が上がってしまうため、より水温の低い沖の方へと魚が逃げてしまい、本来の漁場に近づかなくなってしまうそうなのです。
なんとか暖流系の魚であるシイラやアジなどの魚は手に入りますが、これぞ日本海の白身!という魚はめっきり少なく、獲れても産卵を終えてやせてしまった魚がほとんどです。

当店の人気メニューである、本日のサカナのカルパッチョは白身魚をメインに使っていることもあり、夏は魚の選択肢が少なくなる非常に厳しい季節なのです…。

 

そんな夏でも安定的に獲れる救世主のような白身魚がいます。
それは、「スズキ」!

一般的に夏が旬とされる魚で、日本海・太平洋問わず日本中で漁獲されており、釣り人の間でも「シーバス」と呼ばれるポピュラーな魚です。
「出世魚」という成長と共に名前が変わる縁起の良い魚で、1歳魚がセイゴ、2~3歳魚がフッコ、4歳魚以上でスズキと呼ばれます。

これらのことから昔から親しまれてきた魚であることがわかりますが、川などの淡水域や塩分濃度の低い内湾にも生息できる魚のため、「磯臭い味わい」と敬遠する人も少なくありません。

しかし氷見の沖合の定置網で獲れるものは磯臭さが薄い印象があるため、当店では積極的にカルパッチョなどの刺身で使っています。程よく脂が乗った身は夏の魚にしては珍しく、食べた後に満足感があるほど。

皮が丈夫で加熱しても破れにくいため、ソテーなどにしてじっくりと加熱するのもおすすめ。皮と身の間の脂に旨味がありとても美味しいです。
百聞は一見にしかず、百見は一食にしかず。とにかく今食べてみてほしい美味しい夏の魚。
当店でも取り扱うことの多い魚ですので、自分で調理するのがめんどくさい!なんて方はぜひご来店くださいませ。

お待ちしております

なんだか最後宣伝みたいになって申し訳ないですが、このコラムを読んでいただいている富山湾好き・魚好きの方にこそ来てほしいお店なのです。
さて今日も氷見の魚を取り揃えてお待ちしております。

どうぞお気軽に、ご贔屓に。

 

ー店舗詳細ー

サカナとサウナ HOTEL&DINER
富山県氷見市中央町5-16

1F: SAKANA DINER
ランチ・・・11:30-14:00 (火~日)
ディナー・・・18:00-22:00 (火~土)
定休日・・・月曜
電話番号・・・090-5514-6511
Instagram・・・@sakana_to_sauna

魚料理研究家【昆布】

魚料理研究家。本名: 近森光雄、1993年東京都下町生まれ。

大学卒業後、魚屋に3年半勤務。旅行で訪れた富山県氷見のあまりにも新鮮な魚に一目ぼれし、2019年10月氷見へ移住。
地元の魚屋・漁師・料理人と語らいながら、日々魚料理の新たな可能性を素材と調理法の両面から研究中。

サウナを愛するあまり、スーパー銭湯の近くに住んでいる。

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