お知らせ
2022.06.03

富山県氷見在住の魚料理研究家「昆布」による連載コラムvol.13

気温が上がり、
時折吹く浜風が気持ちのいい季節になってきました。

日差しの強さも変わってきたからか、
心なしか海や木々の色も鮮やかに見えてきたような。
夏に近づくにつれて様々な物が
くっきりとした輪郭を持ち始めるのですが、
唯一ぼやけてくるのが立山連峰。
冬はまるで目の前に
そびえたっているように見えるのに比べて、
夏は快晴の日でもなんだかぼんやりと見える程度
(雲と見間違えることもしばしば)。
更に当月はだんだんと梅雨の季節。
雨に次ぐ雨、時々曇りが当たり前。
「せっかく立山を見にきたのに…」
という落胆の声がそこかしこで聞かれます。

そんな観光客の方々におすすめなのは
当店近くの「立山壁画」。
一冬のうちに一度見れるか見れないかというぐらい
鮮明な立山をプリントした大壁画です。
先日は富山発の
ヒップホップグループ「ザ・おめでたズ」
のポスターの背景にも使われたことで、
じわじわと人気に火がつき始めています(?)。
当店のスタンド席は右を向けば立山壁画、
振り返れば本物の立山が見える立地です。

優雅にワインを飲みながら見比べるのもまた一興…
なのかな?

 

 

季節の移り変わり

さて獲れる魚も季節の移り変わりと共に
変わっていくのが自然の理。
初夏からはトビウオやアジ、マグロが獲れ始め、
サイズの大きなものはかなりの高値で取引されます。
その時々の旬の人気魚を食べることは
この上ない贅沢なのですが、
その陰には旬にもかかわらず不人気な魚もいるもので。
「見た目が悪い」「骨が多い」「捌きにくい」
ーーそんな人間の勝手な理由で、
漁獲されても値段がつかずに
捨てられてしまうような魚たちです。
これらは近年「未利用魚」と呼ばれ、
新たな食資源として注目され始めています。
上の写真はそんな未利用魚の「エソ」。
一見魚には見えないビジュアルかつ、
骨が多く身が柔らかいのが不人気の理由です。

ですが近年は骨ごとすりつぶされて
かまぼこの原料になることが増えています。
柔らかな身のおかげで
よりふわっとしたかまぼこに仕上がります。
他にもお魚ハンバーグにしてみたり、
叩いてなめろうのように食べるのもおススメ。

こんな風に知恵を絞れば美味しくいただける未利用魚。
「残り物には福がある」精神で、
魚屋でそんな珍しい魚を見つけたら
店員さんとレシピの相談をしながら
ぜひ買ってみてくださいね。
一人一人のその行動こそが、
水産資源の保全につながるかもしれませんよ。

さて、今回は暑くなってきた今こそ食べたい
涼メニューをご紹介。

【焼き南蛮漬け】

材料

・魚の切り身 300g程度
・ししとう 4個
・ミニトマト 4個
・長ねぎ 1/2本
・酢 大さじ6
・酒 大さじ4
・醤油 大さじ2
・砂糖 小さじ1
・塩 適量
・胡椒 適量
・小麦粉 適量
・ごま油 適量

作り方
❶切身は一口大に切り分け、塩を振っておく。ししとうは縦に切れ目を入れ、ミニトマトはヘタを取り、長ネギは白い部分を食べやすい大きさに切り分ける。

❷鍋に酢・酒・醤油・砂糖を入れたらひと煮立ちさせ、粗熱がとれた後ごま油をひとまわし加え、保存容器にうつす。

❸油を薄く敷いたフライパンで、野菜を焼いていく。それぞれ軽く焦げ目がついたら、暑いうちに保存容器に加える。

❹塩をした魚の水分をふき取ったら胡椒をして小麦粉を薄くまぶし、油をひいたフライパンで焼く。
 両面こんがりと焼き目がついたら、保存容器に加え、30分ほど漬けこんだら出来上がり。

夏にピッタリな酸味が爽やかなレシピ。一晩漬け置くとより具材にタレの味が染み込んでより美味しいですよ。ぜひお試しあれ。

魚料理研究家【昆布】

魚料理研究家。本名: 近森光雄、1993年東京都下町生まれ。

大学卒業後、魚屋に3年半勤務。旅行で訪れた富山県氷見のあまりにも新鮮な魚に一目ぼれし、2019年10月氷見へ移住。
地元の魚屋・漁師・料理人と語らいながら、日々魚料理の新たな可能性を素材と調理法の両面から研究中。

サウナを愛するあまり、スーパー銭湯の近くに住んでいる。

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