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2022.02.01

富山県氷見在住の魚料理研究家「昆布」による連載コラムvol.9

「氷見寒ぶり宣言」が終わり、町の鰤一色の盛り上がりも少し落ち着いたこの頃。でも相変わらず気温は低く、冬はこれからが本番!なんてことも言うそうで(執筆時点の今後二週間の天気予報は全て雪)。それは海の中も同じで、まだまだ冬の魚が富山湾を所狭しと泳いでいます。

鰤に負けず劣らずの脂を持ったメダイ、モチモチの身のヤガラ、コクのある味わいのマトウダイ、皮ごと炙って食べたいサワラ…。例を挙げて考えるだけでもよだれが出てきそう。

そんなお魚たちを食べられるお店は氷見には数えきれないほどあります。なんてったって魚のまち、氷見。町中に寿司屋や割烹料理屋、居酒屋がひしめき合い、それぞれが目利きした良質な魚を趣向を凝らした料理で提供しています。

更にはうどん屋やバー、喫茶店でも本格的な魚料理が食べられます。特に僕の好きなうどん屋「みきさん」では、お酒を頼むとつきだしで氷見の伝統的な魚料理(南蛮漬けやカニ味噌、煮つけなど)が何品も出てきます。

それをつまみに店主さんセレクトの富山中の日本酒を飲み、〆に魚介のダシが効いたツユを合わせた氷見うどんを食べる。なんだかこの一軒だけで氷見を全て体験できたような気に…。

いやいや他にもいろんな魚料理を楽しめるお店(当店も含めて)がありますので、雪をかき分けながら皆さんもぜひ氷見へ。魚まみれの旅行を楽しんでいただけたら嬉しいです。

魚と日本酒の関係性・・・

さて、富山ではそんな魚と日本酒はとても親密な関係性。

繋いでいるのは、立山連峰から湧き出る伏流水。立山連峰の森の成分や酸素を多く含むその清らかな水は、富山湾へと流れ込んで魚の豊富な栄養源となっており、かつ富山中の酒蔵で使用され日本酒の味に深みを与えています。

そして富山の伝統的な日本酒の多くは、スッキリかつまろやかに仕上げられた淡麗辛口酒。富山の魚料理にぴたりと寄り添うように作られてきました。

食の多様化が進んだ昨今では富山の日本酒の作り方も変化しており、フルーティーなものからしっかりとしたコクのあるものまで非常に多種多様な銘柄が存在しています。

様々な魚料理に寄り添うだけではなく、ペアリングによって旨味を増幅させる効果があるものも。魚料理だけでも奥が深いのに、これまた更なる奥地に広がる日本酒の世界。今日もまたへべれけになりながら、サカナとサケの研究を続けることにいたしましょう。

今回ご紹介するのは、そんな魚と日本酒を共に料理に仕上げた一品。

【日本酒アクアパッツァ】

材料
・白身魚 1尾
・トマト 1個
・ズッキーニ 1/2個
・ニンニク 1片
・パセリ 3枝
・日本酒 50cc
・オリーブオイル 大さじ2
・塩適量
・黒胡椒 適量

作り方
❶白身魚は強めに塩をふり、水気が出たらしっかりとふき取っておきます。

❷トマトは大き目の角切り、ズッキーニは3㎜程度の輪切り、ニンニクはつぶして皮をむいておきます。

❸フライパンにズッキーニとトマトを並べたら、その上に白身魚・ニンニク・パセリ(2枝)を加え、日本酒とオリーブオイルを回しかけます。

❹中火にかけ、煮立ったら弱めの中火にして蓋をし、10分ほど蒸し煮にします。(焦げ付かないように時々ゆすって下さい)

❺魚に火が通ったら皿に盛り付け、仕上げに残ったパセリの葉をちぎって振りかけたら出来上がり。

見た目も鮮やかなパーティメニュー。コクのある純米酒を使うのがおすすめです。ぜひお試しあれ。

魚料理研究家【昆布】

魚料理研究家。本名: 近森光雄、1993年東京都下町生まれ。

大学卒業後、魚屋に3年半勤務。旅行で訪れた富山県氷見のあまりにも新鮮な魚に一目ぼれし、2019年10月氷見へ移住。
地元の魚屋・漁師・料理人と語らいながら、日々魚料理の新たな可能性を素材と調理法の両面から研究中。

サウナを愛するあまり、スーパー銭湯の近くに住んでいる。

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